地価が高かったバブル時に購入した土地は含み損になっており、現在売却したら多額の損金が計上されてしまいます。 現在のような経済状況下では、高価で購入した土地を処分しようとすると購入時の2分の1~3分の1にまで価格を落とさないと売却できません。 またそこまで価格を落としても売却できる保証はなく、金利分や保有諸税を垂れ流しながら保有しているのが現実です。 なお、バブルの時代に購入した社有地を定期借地として運用しているケースがみられますが、本来定期借地は昔からの地主が活用する方法で、土地を新に購入して定期借地にしたのでは元本の回収どころか金利分にもならないのが普通です。一度、定期借地にした場合は、事業用借地権でも10年、一般定期借地権では50年もの間、利用を凍結されるため、数年後に地価が回復したとしても売却することができないのです。 従来までは、こうした定期借地のほかには、土地に権利がつかない状態で貸せるのは駐車場か住宅展示場や資材置場位しかなかったのです。しかし、定期借家権を活用した本契約方式なら、建物費用を家主が実質負担せずに全額保証金という形で借家人にもたせる場合でも、借地権・借家権を一切発生させずに低・未利用地を働かせることができるのです。
借地法上の借地権とは「建物所有を目的に賃貸借する」ことです。建物所有を目的としない場合、青空駐車場などは借地権は付きません。また賃料をとらず無料で貸したのならばこれも借地権は付きません。 しかし、当事者間の借地契約書のなかで、たとえ「借地権は付かない」とか「契約終了時更地で返還する際、借地権・立退料等一切金銭を請求しない」という特約は原則として法的効果はありません。また、契約期間も借地契約なのに1年とか5年10年というものも法的に無効となり、借地法上これらは30年とされてしまいます。借地権を付かせずに土地を貸して有効運用を計ることはなかなか難しいことなのです。
建物を貸して借家権が付かない方法は、定期借家契約以外では原則家賃をとらないこと位でしょうか。これも当事者間で契約に「契約終了時、立退料等名目を問わず金銭の請求をしない」と明記しておいても法的効果は難しいでしょう。 お金を取らずに貸す場合でも、その目的、期間などを契約で明記しておかないと、「永久」に無償使用貸借となってしまう場合もありますのでご注意下さい。 いずれにしても、このように土地+建物を他人に貸して賃料をとることは、その契約を終了させる方法が通常だと難しいものなのです。今回シリーズで紹介している定期借家契約のみこれに対応できるものだと改めて認識して下さい。
(コンテンツ提供元:ハートアセットコンサルタンツ様)