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契約継続見直し型-2

1.従来の普通借家契約における契約の終了

 では、従来型の普通借家契約いわゆる「正当事由借家」ではこの契約期間満了に伴う契約終了についての扱いはどうなっているでしょうか。普通借家契約では契約期間が満了した時、借家人は自己の都合で契約を終了させて退去することも、その契約を家主の合意のもとに、あるいは場合によっては家主の合意が無くても更新させることも可能です。しかし、家主の側から契約の更新を拒絶する場合には「正当事由」が必要です。

これを家主による契約更新拒絶の正当事由いわゆる正当事由制度といいます。この正当事由の実際の運用は非常に厳しく、通常の場合、家主の言い分が裁判所で通ることはあまりありません。

つまり、普通借家契約では、借家人は契約期間が満了すれば、その契約を終了させることも、また更新させることも自由意志でできるのに比べて、家主の方はほとんど為す術がないのです。

この借家人に一方的に有利な正当事由制度は、戦前の住宅事情の困難な時代、戦時立法として設けられたもので、住宅弱者に対する社会的保護として一定の効果はありました。しかし時代背景が大きく変わった現在では、居座りと立退料の根拠とされるばかりで、その社会的使命はすでに終ったと言えましょう。契約継続見直し型定期借家契約の導入により、従来の借地借家法の制約である契約期間満了による契約の終了が自由にできなかったという束縛から家主側が開放されたということです。

要するにこの定期借家契約では、契約の期間が満了したら当然に契約は終了するので、借家人による居座りや立退料の要求を一切許しません。これこそがこの定期借家契約の家主にとっての最大のメリットです。

2.借家人から見た定期借家とは

 それではこの家主のメリットは、反対に借家人のデメリットかと言うと実はそうではありません。  借家人も普通は契約して入居する時点から、将来の契約満了時に家主の意向に逆らってまで居座わろうとか、家主から立退きを申し付けられたら立退料をふんだくろうと考えている訳では決してないと思います。  では何故、いざそうなると、借家人の大部分は居座ったり、立退料を要求するのでしょうか。実務をやっている筆者の感想ですが借家法があり、世の中全般としてはそうして居座ったり立退料をとったりする借家人が多く、そうした話をよく耳にするので、真正直に家主の言う通りにすることは、正直者の上に「ばか」が付くような気になってしまうのだと思います。

まれに、そうした商習慣や法制度を十分理解していても何も言わずに立退く借家人も居ます。

こうした場面では、その誠実さに頭の下る思いがします。(しかし世の中には借家法が予定する本当の社会的弱者もいますので、家主としてはこうした人への配慮も当然必要です。)

なお、今回の借地借家法改正では、従来型の普通借家権と定期借家権は当事者の選択制となっていますので、定期借家権を選択しない場合は、自動的に普通借家権となり、いわゆる「正当事由借家」と同様の扱いとなります。また、定期借家契約を選択した後でも、再契約をそのつど書面書き替えによらない場合は、その定期借家契約は消滅し、書面によらない当事者相互の合意だけで成立するという「諾成の」普通借家契約になってしまう可能性があるのでお気をつけください。

(コンテンツ提供元:ハートアセットコンサルタンツ様

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