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古アパートの立退きは耐震診断から-1

1.           阪神大震災の悲劇

 平成7年1月17日早朝に発生した阪神大震災はまだ記憶に新しいところですが、その被害状況をみると、倒壊家屋15万棟、避難住民50万人、そして死者が6千人を超えるという戦後最大級の地震でした。そして、ここで問題なのは、その死者のなんと8割近くが圧死者、つまり倒壊したビルや住宅などの建物の下敷きになって亡くなってしまった人であったことです。  阪神大震災による圧死者を調査した神戸大学の室崎益輝教授は、生死を分けた要因として、次の7項目を挙げています 1)   築30年以上か以下か、2)老人、病人か若者、健康人か、3)1階か2階か、4)狭いか広いか、5)和室か洋室か、6)家賃が3万円以下か7万円以上か、7)地域コミュニティーがあるかないか。  そして「圧死者」のイメージとしては「築30年以上の木造古アパート」「日当たりの悪い1階。1DKの狭い和室」「家賃3万円以下」「近所付き合いのあまりない老人一人住まい」となっています。  建築基準法によりますと「家」は国民の生命を守るために「建築物の構造等」が考えられなければならないことになっていますが、今回の地震をはじめ十勝沖地震や宮城沖地震など一連の地震による死者をみますと「生命を守るべき家に潰された」という悲劇的な印象が強くあります。

2.「借地権」が被害を拡大した?

 本来、弱者を守るべき借家法が借家人の居住権を保護するあまり家主からの家賃値上げや立退き請求を難しくし、借家人にとっては、「借家法があったから居続けられた」わけですが、その結果、今回のような地震で大災害を生じさせてしまったという、因果関係がなしとは言い切れません。      借家人を社会的弱者ととらえ、その居住権を保護することは当然ともいえますが、それ以上に人命・財産を守ることは重要です。地震など自然災害にもろい古アパートの家主と借家人との問題が、互いに少々の犠牲を払ってでもスムーズに 整理解決されることこそ大事なことであり、「借家権」がその足枷になってはなりません。      また、もう1つ問題があるのは、「第三者への被害」です。今回の震災のような大規模地震ならば、古アパ―トの居住者ばかりでなく、アパートの倒壊によって通行人などの第三者へ損害をかけることになりかねません。  法的には、大規模自然災害による損害は不可抗力となり家主の責任は問われませんが、中規模地震(震度4~5)で、周辺の建物がほとんど被害を受けていないのに自分の古アパートだけ倒壊して借家人や第三者へ損害を与えた場合には、家主に法的責任を問われるケースもあります。      このように古貸家・古アパート問題は、地震などに耐えられない危険物放置という側面があり、借家人や第三者への被害予防や家主の損害賠償リスクの回避という面からも十分に留意しなければなりません。      古アパートが家主にとって困るのは、その土地の有効活用と相続対策という2つの面からです。      アパートは古くて家賃は安いがその土地は評価が高くて、固定資産税も高いし、建ぺい率・容積率のことから考えても十分に活用しきっていない。  またその土地の相続税評価額は高く、高額な相続税がかかるのに、万一の際、売却金額は難しいし、家賃が安いので延納財源とならない。  しかし、家主にとっての古アパートの最大の問題点 が損害賠償問題なのです。  家主は、老朽化した管理の悪い建物を、理由はどうであれ放置しており、それが原因で第三者に被害を与えれば民法717条の工作物責任によって、借家人に対しては、民法606条の修理修繕義務不履行により損害賠償の義務を負う可能性もあるということです。

(コンテンツ提供元:ハートアセットコンサルタンツ様

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