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期借家契約のポイント

<定期借家契約のポイント>

 今回からは、定期借家契約について連載します。
実は平成12年3月1日にこの定期借家制度が借地借家法の改正によって導入されましたが、当初の期待ほど一般に普及されていないのが現状です。その最大の理由は、この法律による定期借家契約制度では「更新」がなく、期間満了の都度「再契約」をしなければならず、この「手間と時限管理」が負担になるためであると思われます。
普通借家の場合、「正当事由制度」いわゆる契約更新時の家主からの契約更新拒絶のための正当な事由の有無により、大抵の場合その更新のほとんどが借家人有利に認められてしまうのですが、定期借家では、この正当事由が無くても当事者間で自由に更新も更新拒絶も可能であるとすれば良かったのではないかと思います。
それは、ともかく、この現行の定期借家制度のしくみとその利点について世間一般に広く認識され、この制度が普及されることは筆者の希望するところです。
さて、この定期借家契約の家主のメリットは次のようなものがあげられます。 1)契約期間終了が確定するので、その後の土地・建物利用計画が予定できる 2)立ち退きトラブル、立退料が発生しない 3)収益利回りが確定する 4)大型貸家も安心して賃貸できる。 5)大型自宅持家も安心して賃貸して、収入を得ることができる。 6)建て替え予定建物の空室も賃貸できる 7)賃貸物件の売却(オーナーチェンジ)も容易になる 8)賃貸立地の拡大化により土地活用の有効性が高まる 9)低・未利用地、将来活用地、納税用土地も一時活用して収益化できる 10)賃貸不動産を証券化して売却・投下資本の回収がより有利に図れる
一口に言ってしまえば、家主にとってはメリットこそあれ、デメリットはほとんどありません。
ではもう一方の借家人にとってはどうでしょうか。
一般に家主さんは、自分と借家人とを対立関係としてとらえている方が多いので、この定期借家契約が家主にこんなに有利ならば、借家人にとってその分不利になるに違いない、もしそうならばそれは賃料の低減となって返ってくるであろうと考えてしまいます。それを後押しするかのように、賃貸仲介業者も同様に考えている場合も多いのです。
しかし、必ずしもこの定期借家契約は借家人に不利になるものではなく、むしろ次のように有利となるものなのです。 1)借家物件の選択肢が広がる  大型物件や駅至近で家賃も安く、しかも比較的広い物件が市場に出回ることが予想されます。 2)契約方式が多様化される契約期間、家賃改定ルール、支払方法などで  柔軟な対応が望めるようになるでしょう。 3)入居審査の緩和、連帯保証人不要も可能となる 4)良質な賃貸住環境が得られやすい
借家人にとっての最大メリットは、4)でしょう。定期借家契約では賃貸期間満了にともなっての契約終了に理由は不要です。もし騒音やゴミ出しなどで他の借家人に迷惑をかける借家人であれば、再契約せずに立退かせることが出来て、そのアパート・マンションなどの良質な住環境が得られやすいのです。
ある業者などは、「このアパートはすべて定期借家契約ですから、変な借家人は居ません。居てもすぐ出ていってもらいます」とそのアパートの宣伝文句に定期借家契約をうたっている位です。
要するに定期借家契約は契約の期限ごとに家主の側からも借家人を選べる訳ですから、良い借家人 には残ってもらって、悪い借家人には出ていってもらうことが出来るのです。「良貨が悪貨を駆逐する」のです。入居契約の際、借家人として不良であれば契約期間満了の際、再契約しないという宣言をします。もし、これで入居を嫌がる人は、潜在的な悪質借家人と思われますから、むしろ入居させないことが良いことであると言えます。
契約を遵守してくれれば、再契約には応じますという「再契約特約付」の定期借家契約にしておけば、何らの支障も無い訳です。
さて、この定期借家契約のポイントをあげましょう。
第1に不動産投資適格4条件が確立します。 1)     長期契約(契約期間に制限はありません。)が可能 2)賃料確定特約(当事者が契約で特約した場合、法律に優先します。) 3)中途解約排除ができます。  (契約特約により可能です。但し、借家人が自宅として使用する場合、法定の解約権があります。) 4)立退料不要(契約満了により確実に契約は終了します。
第2に契約期間ですが全く制約はありません、極端に言えば1ヶ月から何十年何百年でもOKです。
第3に契約方法ですが、書面による契約であることが必要です。通常ほとんど契約書を作成しますので、この点特別の配慮は不要です。
重要な点は、契約書とは別に「更新のない旨を記載した書面」を交付して説明することです。この書面を発行して説明しませんと、契約書は定期借家契約でも法律上否定されて、普通借家契約となってしまいますのでご注意下さい。
第4に契約の終了対抗要件ですが次の通りです。 1)期間満了の1年前から6ヶ月前までの間(通知期間)に契約終了の旨を通知 2)不通知の場合、通知の日から6ヵ月を経過した後
第5に普通借家契約から定期借家契約への切り換えでは、事業用は制約がありませんが居住用では次の条件では平成12年3月1日以前に締結された普通借家契約から定期借家契約への切り換えはできません。 1)居住用 2)当事者が同一 3)合意終了 4)引き続き 5)同一の建物 6)当分の間
次回以降は、この定期借家契約を使う実務現場での応用を連載していきます。

(コンテンツ提供元:ハートアセットコンサルタンツ様

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