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「底地」の売値を決める-1

1.底地の値決めは難しい

 貸宅地の整理手法を私は全22通り整理分類しておりますが、そのう最もポピュラーな方法は、地主が借地人へ底地を売却するというものです。前回でも述べましたが、この方法の最大の欠点は、底地の値段の決め方が難しいということです。売手は地主、買手は借地人、商品は底地決まっていないのは値段だけという状況だからです。この限定された特殊な取引きを双方納得する方法で成立させるための底地の値決め法に私は次の6法を提唱しています。

2.底地売買値決め6法

第1法 積算法    更地所有権地価相場に底地割合を乗じ、そこから個別事情による値引きをして値決めします。   第2法 ゲーム法    所定の借地・底地割合のもとに、一方に更地価格決定権、他方にその割合による先買権を与え、ゲーム感覚で値決めします。   第3法 入札売却法    複数借地人により各々の底地買値を入札させ、早く高く値を出した借地人にだけ底地を売ろうというものです。   第4法 価格ガイドライン法  借地権と底地は、コーヒーカップとお皿の関係に似ていることから、これを値決のめガイドラインとします。   第5法 共同売却応用法    地主・借地人が共同で更地所有権土地として売りに出し、市場が決めた値段にあらかじめ決めた割合を乗じて値決めします。   第6法 一発指値法    地主の気持ちを思い計った上で、借地人に1回だけ指値を提案させ、これを基準にして値決めをします。今回はそのうちの第1法について紹介します。

3.値決め6法第1法 「積算法」

 これは更地所有権地価相場に底地割合(1ー借地権割合)を乗じ、そこから個別事情による値引きを差し引いて売買値段を算出する方法です。公式化すれば次のとおりです。
更地所有権地価相場×底地割合×(1ー値引率)=底地売買値段
この積算法は、底地売買値段を決めるについて更地所有権地価相場・底地割合・値引率という3つの要素に分解し、それぞれについて地主と借地人が互いの交渉の上で決めていき、最後にそれを掛け合わせて売買値段を導き出すというものです。

4.更地所有権地価相場を決める

 まず第一の要素である更地所有権地価相場ですが、日本では地価は一物四価などといわれていて、正確に相場をつかむのは大変難しいものです。それでも昨今、地価情報は大分整理されてきており、税務署が使う路線価を中心に周辺売買事例を多少参考にするとかなり正確な当該地の地価が分かるようになってきました。  地価を決めるにあたって重要なことは、この地価という要素は「客観」的なものであるということです。底地売買では、地主が売主、借地人が買主として初めから決まっています。そこで、地価を決める段階で「売主は高く、買主は安く」の思惑で綱引きをしてしまわないように、コンサルタントはしっかりリードする必要があります。

5.底地・借地権割合を決める

 第二の要素は底地・借地権割合です。これについては税務署の使う路線価図に記載されている割合を使います。この割合を使えば借地人はほとんどクレームをつけません。もとを正せばタダのものが6割は自分のものなのですから。むしろ地主を説得するのが難しい場合が多いものです。なぜ自分の取り分が4割しかなく、昔タダで貸した借地が6割の権利を持つのかと、詰め寄られることが稀にあります。これは人情面からでは乗り越えられません。ただひたすら借地法というものがあり仕方がないこと、4割でも良いから整理すれば相続時にいかに有利であるかなどを話します。    この割合については、いわば「中立」的なものとして取り扱う訳です。

6.値引率を決める

 第三の要素は値引率です。地主の売り急ぎ、借地人の買い焦りなどによってこの値引率は変わってきます。地主の側が、相続が直前に迫っているとか、相続が発生してしまって相続税を納めるために急いで底地売却をたい場合などは、どうしても買主ペースとなり値引率は大きくなるでしょう。  また、前年多額の更新料を取って契約更新したなどという場合も、やはり値引率は大きくなるでしょう。一方借地上の家が古くなり、借地人が再築を希望していて、その承諾料を支払う必要があったり、来年は契約更新時期であり更新料を支払わなければならないということであれば、その分値引率は小さくなるでしょう。  この値引率という要素は、これまでの長い土地賃貸借関係から生じるさまざまな事情を考慮して決める「主観」的なものです。この段階では、地主にも借地人にもお互い腹の中のものをすべて出してもらって、十分に納得のいく交渉をしなければなりません。このプロセスが不十分だと、結局最後の契約調印の段階で取引そのものを取り止めにしたり、契約をしても引き渡しまでのさまざまなやりとりにケチが付いたりしかねません。

7.積算法のポイント

 この値決め法の最大のポイントは、地価相場は「客観」なのですから、これを決める時は各々の思惑を働かせないこと、それは後の「主観」で決める値引率のところへ持っていくこと、その値引率を決める時は、すべての事情をお互い出し合うこと、そうするとこの主観の事情はこちらが100あれば相手も100あるということが分かってきますので、最後はおのずから落ち着くところに落ち着くというものです。

(コンテンツ提供元:ハートアセットコンサルタンツ様

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