家はその人の年齢・職業家族構成などのライフステージに合わせることが好ましいですが、持ち家では柔軟に対応できません。しかし、財産形成・資産保全運用・老後の備えとしての持ち家は、長期的観点からは正しいと言えます。 今回はこの相矛盾する二つの側面を両立させる方法をご紹介いたします。 ライフステージに合わなくなった持家は定期借家で賃貸し、自らは好都合な住宅を賃借します。持家のもつ財産形成・資産保全運用機能を活かしつつ、ライフステージに最適な物件に住むというものです。 日本に限らず、財産形成・資産保全運用という観点からみた場合、不動産への投資は有効な方法の1つです。特に農耕型社会の文化性の強い日本では、不動産を所有していることへの信頼性・信用度・ステイタスなどはとても高いといえます。また、若くて元気なうちにコツコツと働き、それを資産として老後のために蓄えるには、不動産を購入することがやはり適当な方法です。それが自宅としての不動産であればなおさらです。 「資産とは現在の購買力を将来へ持ち越す媒体」であり、その媒体は変形・損耗せず盗まれにくく、インフレにも強く、現在でも使い道のあるものがベストなのですが、それには自己居住用不動産・自宅持家が最も相応しいといえます。 働き盛りの実年期に住宅ローンを使って自宅持家を取得し、高収入のある間にせっせとローンを返済してしまう。そして老後はローン完済として悠々自適のハッピーリタイアというのが一般的日本人のイメージです。 これはこれでとても大切な考え方です。現在の経済大国日本は、こうした「勤勉」に支えられているのですから。 財産形成の一つの手段として、また一つの目標として自宅持家はまさに相応しいものなのです。 一方、家族をもつようになると、やがて子供が産まれ、成長し、結婚して巣立っていく、あるいは嫁をとるという、内部変化が訪れます。しかし、それらをすべて自宅・持家という1つの篭に納めるのは非常に難しいことです。 理想的には、年令・職業・家族構成などその時々のライフサイクル・ライフステージに応じて、住み替えることが好ましいでしょうが、大金を投じる必要のある持家では柔軟に対応することができません。 高齢化の進む米国でも、子供達全員の大家族で住んでいた大きな家が、その子たちが皆大人になって巣立っていってしまった後に、老親2人住いとなってしまっています。これを「エンプティネスター」直訳しますと空(カラ)の巣の人―空巣人―とでも言えましょうか。日本でもこうした現象が多く発生してきています。昭和40年~50年代に郊外の一戸建てに家族全員と住んでいた人達がエンプティネスターとなっています。 こうして、財産形成に重点をおいた「持ち家派」とライフスタイルを重視する「賃貸派」のいずれが良いのかなどと言われています。
(コンテンツ提供元:ハートアセットコンサルタンツ様)