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強制配転条件付型-2

1.米国「リロケーションクローズ」

 商業系ビルでの実際の契約では5~10年の中期契約を基本とし、テナントが自己負担施工した内装造作の償却期間終了に合わせて当初契約を終了します。そして次の改装に入る段階で、時代ニーズに合わせた大規模リニューアル計画を立案し、それに協力してもらえるテナントと再契約し、配置転換を含めた大改装によりビルの再生・活性化を図ります。    事務所系ビルでは、後からのテナントが優良でかつ大面積を希望する場合を考え、小面積の既存テナントをオーナーの費用負担で他所へ移転させることができる特約にしておくと良いでしょう。ただし、定期借家契約期間中の強制移転には「正当事由」が必要です。    米国・カルフォルニアでは、このような特約を「リロケーションクローズ」といいます。直訳すれば移転条項となりますが、ビルオ―ナーにとっては「強制移転請求権付定期借家契約」ということになります。この特約は、商業系・事務系にかかわらず、当該テナントの原契約の室を含む賃貸スペースを新テナントに貸すことが、ビルオーナーの権利としてできるというもので、その特約の実行は原契約の期間中でも構いません。    この場合、ビルオーナーは当該テナントに対して同ビル内の他所でなるべく同等質の入居スペースを提供しなければなりません。そして、この移転にかかわるすべての費用(移転費用・内装費・事務連絡費等)はビルオーナーの負担となります。そして、ビルオーナーから経営管理を任されているプロパティーマネージメント会社(PM)は特約を積極的に活用し、当該ビルの収益性を少しでも高めようとする訳です。    契約自由が徹底している米国では、こうし々な契約特定条件をはじめから入れておき、この条件を活用して、PM会社はそのビルの収益を高める経営管理努力をします。逆に言うと、こうした努力をせずに収益を高めることが出来なかったPM会社は、ビルオーナーによって管理契約を解除されてしまいます。

 

2. 米国で定期借家契約を何と言う

 定期借家契約の制定される1~2年前、筆者はその業界関係者と数度にわたって、米国ロスアンジェルス、ニューヨークへ行き、定期借家契約について視察研修しました。    その結果を「決定版定期借家権実践ガイドブック」(清文社)として共著で出版しました。本連載もこうした研修にして書いております。    初めての視察の際の笑い話ですが、米国では定期借家契約を何と訳せば良いのかというものでした。「リミテッドリーシングコントラクト???」と考えましたが、実はただのリーシングコントラクトでした。何故ならば、期間の定めのある契約は米国ではすべて「定期」であって、すべての借家契約には期間の定めがありますので、当然と言えば当然ですが、たんなる借家契約で良い訳です。    日本における従来の借家契約は、いくら期間の定めがあろうと、その期間には法律上なんの意味もありません。借家契約の期間が満了しても、家主に契約更新を拒絶できるだけの「正当事由」が無ければその契約は終了せず、家主の意向とは無関係に、借家人のみの都合で、契約が更新されてしまいます。これを法定更新といいます。    こうした日本の借家契約事情を前提に米国の事情を視察すると、当時これから定期借家契約が制定施行される日本のことが、いかにも世界の非常識と思えたのでした。元々、借家契約は定期に決まっていたものが、法律によって大きくゆがめられていたのです。そのズレを頭の中から追い出さなければ、これからの定期借家契約の時代の実務が出来ないのだと改めて思い知った次第でした。

 

(コンテンツ提供元:ハートアセットコンサルタンツ様

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